第32回青丹会書展
吉川 美恵子
「春は花…」
奈良のかな書として、全国から注目度高い吉川美恵子会長率いる青丹会の第32回展。奈良県文化会館の改修工事で、大和高田の産業会館に会場を移して3度目の開催。
本来、美術展示の場でない為、設置の手間と映り込みが悩みの種である。
今年は、ユネスコへの書の世界遺産登録申請をなしえて、同時にExpo 開催に併せて書道を世界に発信しようと日本書芸院が動いた(その開会を14面に紹介)。書芸院副理事長を務める吉川会長も2日目に多くの展覧者の前で席上揮毫に参加された。その作品が3紙の作品に表装されて今展に出品された「春は花…(道元禅師)」。一過性の中で調和ある布置とリズム、情感が込められた作品。
二度目の日展特選を受賞して肩の力が抜け、軽やかな筆致が窺えた河合鷹山の「額田王の…」。大嶋三峰は心の発露を渋く纏め上げる。森川史実代は3つの文字群の爽やかな呼応を意図。中出佳世子は書としての調和あるが、歌意にそった線情も欲しい。中野悦子ももう一歩の書線の奥行きが欲しいか。大嶋峰道の堂々とした存在感も一興。機微ある展開を期待したい作家として常任理事では山崎洋子の潤渇対比、川代久美子の行間呼応、武村榮子の余白空間。理事では盛口寛子の自在な流れに宿る視点移動の心地良さ、前田鈴華の潤渇機微を挙げる。細字では凛とした井森敏美に注目した。「書」は楽しいものでありたい。故に美とは何かを潜めたい。(松)
