―第28回青丹会書展より―
会長 吉川美恵子
「朝の来ない夜はない〈吉川英治〉」


● 4月23日〜25日
● 奈良県文化会館

 昨年、コロナ禍で延期となった青丹会書展が、令和元年に続く第28回展として開催された。
 会場に入ると中央に、ひと際白く輝く大字かな吉川会長作品「朝の来ない夜はない」が目に飛び込んできた。はじめ、調和体作品だと思い近づくと変体かなが一字使われている。とすれば、かな作品か。調和体の規定は原則行頭揃いであり、毎日系の近代詩文書はそうした規定はない。しかし、芸術的な根源「何故この作品を制作するのか」という作者の意思がこの作品から観者に訴えかけてくる。「コロナ禍で、沈む気持がどんどん私達に広がっている中、『明日はきっと来る』という前向きの信念こそ大切ではないか、という気持ちを吉川英治の座右の言葉を引用して書した」とお聞きした。そして、もう1点。昨年披露する予定であった改組 新 第6回日展で東京都知事賞を受賞した「梅」〈万葉集梅花の歌より三首〉が横に並ぶ。横紙展開の吉川かなの本領と作域の広さ奥行きを垣間みた感があった。(松)