日本自由画壇理事長
橋本 不双人 展


〈出版記念〉
画集 不双人『水墨・墨彩の世界』
教本 河口楽土『水墨・墨彩画入門』

 

 �T墨彩画の新たな可能性を探る�Uと冠した画業50年を回顧、110余点の作品が一堂に会した。展示の初めに河口楽土の作品8点が並べられた。不双人は伊藤三喜庵に手ほどきを受けて水墨画の世界に入り、河口楽土に師事、展示は師への感謝の意であろう。
 会場を一覧すると、そのモティーフの多岐にわたっていることがわかる。ここに掲出した作品も、月明かりの下に鵜舟の舳先に居並ぶ鵜を描いた「篝のあと」(1968年、F120)、丘の稜線と蛇行する羊の群と人物の立体的構成で画面にダイナミックな遠近感を表現し、既成南画の枠を超える「群ぐん(モロッコ)」(94年、213×146�B)、「共生�v(90年、F)も墨彩の可能性の探究を砂漠のオアシスをモティーフに試みている。
 「汐騒」(2006年、F120)は下北半島の取材から生まれた漆黒の海の深い心象性、「歓」(02年、F120)の荒波の躍動、「佛静」(14年、F50)の静謐な温もり、「 追想ショパン(ポーランド)」( 11年、F120)のきわめて斬新な構想、と様々だ。
 不双人自身、みずからの水墨・墨彩の位置づけを、�T西洋画と称される「油彩画」「水彩画」、東洋画と称される「日本画」「水墨画」の4つのジャンルに囲まれたエアーポケットに存する。�U�T伝統を基盤に創造性、精神性、近代性、国際性を備えた作品を志向�Uと述べている。水墨画の近代化を目指してヨーロッパ近代絵画を摂取した鉄斎、関雪、そして師・楽土の衣鉢を継ぎながら、より今日的に展開しようとする道程を、あらためて一覧する機会となった。(中)

 

篝のあと

 

佛 静

歓

 

群

汐 騒

共 生

追想ショパン