高島屋美術部創設百年記念

室井 東志生 展

■ 平成21年10月28日〜11月3日
■ 高島屋東京店6階美術画廊
   (後、大阪・京都・名古屋・横浜巡回)

 

 昨年10月高島屋東京店美術画廊を皮切りに大阪、京都、名古屋、そして今年1月の横浜店を巡回した日展評議員、室井東志生氏の日本画展。150号の大作から肖像、花鳥画、富士三部作など約40点が並んだ。
 これまで日展出品の舞妓シリーズで日本画家としての地位を築いてきた室井氏だが、作品は胡粉の白を巧みに配した清涼感ある画面が特徴で、作調は年々昇華され、いまや氏の骨頂は視線の妙にある。琥珀の瞳の奥に可憐を、あるときは艶をたたえる舞子達の斜め奥に注がれた視線は、ひとしきり観者を画中に引き込みつつゆっくりと周囲に視点を誘う。日展出品作である大作「幽(坂東玉三郎像)」(150号)は、雨中夜叉が池からの帰途につく、白鷺城の天守夫人「富姫」を描いたものだが、清澄な色彩、端正な佇まいと相まって、闇の静寂を起想させる瞳は異界の幽き情念をを孕んでいる。同じく玉三郎が中国公演の昆劇「牡丹亭」で演じた「白麗」は夢の中で出会った男性に恋い焦がれ死んでいく少女である。画面を覆う牡丹と衣装に無垢を表す白。冠には情熱を表す深紅の宝玉。そして情熱をこめた悲しみの中の凛とした視線で空を射る。その表情が役者の力量を的確に捉えている。     (松)

 

「白麗(坂東玉三郎像)」 50F