大林せつ子 日本画展
全日本美術協会常務理事、大林せつ子さんの久々の個展。全展代表の山内氏の企画した写生研修会にも積極的に参加し、洋画アングルのスケッチを繰り返したことが、大林さんの個性ある日本画の作風に繋がっている。今展には都美術館の本展出品の50号の「天然の美」、「湘南の海」を中心に20数点の新、旧作が並んだ。
「天然の美」は元宋の朱を思わせる秋色で、一条の滝の流れが印象的であり、「湘南の海」は俯瞰構図で海岸線と海の壮大な景観を巧く捉えた作品で恐らく大林さんの代表作となるだろう。小品では「しだれ桜」もおもしろい一点と思ったが、上掲の二点に足が止まった。「天城山紅葉」は、偶然にも全山燃えるような紅葉に天城で出会ったというが、もう一点の「伊雄の月」も月明かりに浮かび上がった、まるで別世界のような幻想的な景観に出会ったと聞く。二点並んだその色彩対比も良く、朱と紺の基調の色がどっしりとして山の風格を保っている。共に感動が作品となった好例である。今後益々の活躍を期待したい。 (松)