永名 二委 水墨画展


●8月1日〜9日

● 新宿・京王プラザホテル

 

 ホテルのロビーという広々とした空間で、永名の水墨による大作は場を得た喜びのように生き生きとしていた。4曲の「海韻」は岩礁に激しく打ち寄せて砕け散る波涛をダイナミックに、また3曲の「融雪の候」(掲出作品)は深々とした墨色の渓流に枯木、白い残雪とが一体となって静かな緊張感をたたえていた。ロビーには他にも、三巓からの流れ落ちる瀑布と山肌にまといつく霧を遠望する「夢想の景」や「外房賛歌」、「早春の北アルプス連峰」(いずれも100号)などの山や海の景が客足を惹きつけていた。
 ギャラリーには、満月に照り返る山嶺の「凍れる夜」、絶妙の構成で展開する「万里の長城」、永名には珍しい樹木にフォーカスしたエネルギッシュな「樹魂」(いずれも30〜50号)、額装の他に一面を10連の軸装作品を並べるなど、展示にも工夫があった。
 現実の風景に啓示を受け、自然の真理をつかもうとする作品群は、水墨の限りない可能性と新鮮な魅力を、ケレンなく真向から切り開いてみせた。細部に支えられたスケール感豊かな、充実の個展であった。(中野)

 

融雪の候 170×256