未明の刻   高 頭 信 子

 まるで深夜の空に舞うオーロラかと思うような心象風景である「未明の刻」、高頭さんの個展会場を一巡して一番印象に残ったのがこの作品である。  これまでは、銀座三越での年末個展が恒例となっていたのだが、閉廊となり、名物個展がひとつなくなり淋しいなと思っていた矢先の新宿展であった。  今展には東方展出品の120号の「宙の花」を中心に、20号の「丘の夜」、「雲舞う」、8〜4号の「暁の刻」、「絢爛の刻」、「天空」等の本画に加え、20点近くのはがき絵が並んだ。本画は殆どが『花火』をモチーフとした作品である。そのモチーフを自らのテーマ『天・地の気を捉える』に生かして響きを探る。今回紹介の作品ももちろん珍しい花火の印象を描き上げたものである。まるで雷様のでんでん太鼓が突然夜空に浮かび上がったようにも見える。この作品となぜか『ロードオブリング』の龍の花火の映像が重なる。それだけインパクトがあるということだろう。はがき絵も実に繊細な筆致で、「二重富士」、「孤高の館」など見応えあるものが多かった。       (松)

 高頭信子 日本画展   ■新宿三越8Fギャラリー   9月2日〜8日■