郷倉 和子
展
― 心の調べ―
■ 9 月21 日(土) 〜 11 月24 日(日)
■富山県立近代美術館1 階企画展示室―
文化功労者で日本藝術員会員の21日から富山県立近代美術館で白寿を記念する展覧会を開催する。富山は和子さんにとってゆかりある地で、父・千靱(せんじん・日本藝術員会員)氏の故郷(富山県射水郡小杉町、現射水市)で、母も同じ富山の生れである。小学生のころ、父に連れられて父の実家に帰省したと聞く。その折、目にした山河豊かな北陸の風景は、当地で味わった新鮮な魚や果物の味覚ととも今も回想するというが、平成14年に小杉町名誉町民(現在射水市名誉市民)となった富山での白寿展開催は、父母に送る感謝の意味も多分に含まれているに違いあるまい。
院展作家で白寿展を開催した作家は、私の知る限りでは奥村土牛翁、片岡球子さん、小倉遊亀さんの3名。この3名は続いて百寿展も行っている。父・千靱氏は83歳、師の安田靫彦氏(小倉遊亀さんの師でもある)は94歳で逝去されており、横山大観も89歳で亡くなっている。それほどに白寿展は天賦の才と強い天運を持つ人にしか出来ないものといえるだろう。
さて、今でこそ梅の画家として知られる郷倉和子さんだが、女子美術専門学校(現女子美術大学)を首席で卒業、翌年の院展に初出品初入選を果たす。翌年、安田靫彦火曜会に入会してその2年後に院友に。戦争中、結婚と家事専念のため5年間不出品の時をもったが、昭和24年に復帰し、これまでの写実から厚みある半具象へ画風を一新し、次々と受賞を重ねカラリスト振りを発揮した。そうした初期の作品から、自分の絵画観を梅に見い出した院賞受賞作の円熟期、祈りの世界へと続く近年の作品まで、約80点の代表作が並ぶ。
また、会期最終近くの11月16日に和子さんは満99歳を迎えられる。次の百寿展もまた楽しみだ。(松)

第42 回日本美術院展 日本美術院賞・大観賞
《真 昼》 208.5×163.5
1957 年( 昭和32) 富山県立近代美術館蔵
