感謝をこめて 文化功労者

郷倉和子日本画展

 

東京展 ■2009年10月28日〜11月3日 ■日本橋三越本店本館6階美術特選画廊 仙台展■2009年12月15日〜21日 ■仙台三越本館7階アートギャラリー

 日本美術院同人・理事、文化功労者の郷倉和子さんの日本画展。郷倉さんは、これまで静謐な日本の美をを追い求められているが、梅をモティーフとして作品創りを始められたのは昭和60年(1986年)頃からであったと記憶する。その前年の第69回院展に「閑庭」で内閣総理大臣賞を受賞。その後の自らの作品展開にメインテーマとして梅に焦点を絞り込んだと推測される。その出発点となった作品は翌年の春の院展に出品された「古木に出た紅梅の芽」で、越冬用のわらに包まれた老梅の生命力を謳った。そして第70回院展に優美に枝を広げる月下の白梅を四曲屏風に仕上げた「暮色白梅」を発表する。正に新たな画境がこの年から開かれていくのである。それから4年後の平成元年の第74回院展に、大屋敷の屋根を背景に、空に古枝を広げた白梅を配した「静日」を出品、その作品が翌年の日本芸術院賞・恩賜賞を受賞し、日本ならではの空間美の在り方を示した。
 今展には院賞受賞の年の姉妹作ともいえる「陽だまり」が出陳された。線描のみの寄棟屋根を背景として紅梅の古枝の清楚な広がりが一瞬の時を凝縮させる、豊かな日本の香りがそこにあった。また、「春が来た」は文化功労者の顕彰をうけた翌年(平成15年)の作品である。白梅越しに庭手入れをするのは御自身であろう、自然と人との一体感、生かされている自分に感謝するそんな思いがこもる。そして、鴛鴦の遊弋する水辺の梅を描いた三部作「水辺の春光」の四曲屏風に到達する。95歳、ますます感性の冴えで魅せる。 (松)

春が来た    
  138.0×60.0cm

陽だまり  四曲一隻屏風

水辺の春光II  四曲一隻屏風