―半世紀にわたる 画業を一堂に―
村
岸 良 華 作品展
■ 1月28日〜2月2日 ■ 大阪府立現代美術センター(南館1F)
(社)日本南画院副理事長の村岸良華氏が傘寿を迎え、画業50余年に亘る回顧展を開催した。
氏は1928年大阪の生まれ。絵は幼いころより得意で、小学5年の図画コンクールに特選を受賞しており、家の事業を継ぐ一方、27歳の頃に本格的な洋画デッサンを始めている。しかし、縁あって久保田耕民に師事することとなり日本画の模写から習い始め、模写を卒業するころに清水要樹氏に紹介され、水墨画に接したという。デッサンセンスの良い村岸氏はバルールのしっかりした写生を活かして年毎に受賞を重ね、南画家としての地位を確立した。
村岸良華氏の作品には圧倒的な存在感がある。触れれば湿気を含んだ岩があり、深呼吸をすれば厳寒の張りつめた冷気が入り込んでくる。和紙と墨が油彩画を凌駕する。卓越した技量と天性の感性が水墨・墨彩画の限界を超えて鮮烈だ。と言うより、水墨画と洋画との融合の片鱗が窺える。普通水墨画家は墨にこだわるが、その墨色にこだわったのが最高賞を受賞した「阿弥陀三尊」、200号の大作である。画面中央、主尊の腹部から胸に光を当て柔らかく威厳ある表情を浮かび上がらせている。前景の阿弥陀立像を起点に一点透視(これこそ洋画としての視点なのだが)を巧みに活かし臨場感を演出している。黄土から墨への変化も静謐で美しい。同年制作の「三筋の滝」は一転して色彩溢れる作品。清々と落下する透明な水、隆々と肩をいからせる岩は墨の特質を最大に引き出しており、まさに墨をベースとして色彩が鮮烈に空間を支配している感がある。また「余呉」、「余呉の家並」、「故郷の雪」等の雪景のシリーズは色彩を抑え墨の深みを活かした佳作。一時期、墨のみで描くというカセを自らにはめ、そこを通過したあとに村岸スタイルが確立されたといえよう。もちろん根底には確かなバルール感覚のデッサンが今も存在する。今後の活躍を乞う期待。
(松)
