第50回記念 日本南画院展「甦る屏風展」より
理事長
町田 泰宣
伝統と実績を誇る我が国最大の水墨画団体(社)日本南画院の第50回記念展の記念事業として町田泰宣理事長発案の「特別展・甦る屏風展」が開催され、19名の審査員が挑戦、圧巻の会場となった。
屏風の歴史は古く、漢の時代に既に風よけの道具としてあったと聞く。それが巍、晋、南北朝時代に王族の贅沢な装飾品へと変化するが、現在の中国ではパネルへと変わり、日本のような屏風形式は見られなくなっている。生活様式の違いがそうさせたと言えようが、7世紀後半に新羅から日本の朝廷に献上された屏風が、日本の風土に馴染み発展したことは、仏教と同じく文化継承の最後の地で原形を留めるという法則があてはまる。桃山時代に琳派の屏風絵で屏風絵画の全盛を迎え、その後も絵画や書の様式のひとつとして現在に至っているが、水墨は襖絵様式が主流となってきていたことも事実であろう。
水墨での屏風展は「甦る」と題したタイトルに相応しいものといえよう。8、9面にも多く紹介させて頂いたが、町田理事長の「璃江静日」を巻頭に挙げたい。
実は、町田氏の主宰する昨年の京都の研究展で、横長の余白を十二分に勘案した作品に接し、これが次回の屏風絵のエスキースだと思い込んでいたのだが、見事にその予測を外されてしまった。離江図は東山魁夷氏も水墨で描いているが、屏風で雄大な自然の空間性を存分に活かせられる。町田氏は発案の長としてあえて伝統の画題に取り組んだと思われる。
しかし、一見古典的とも見えるその構図の中に、一貫して墨と金の共鳴は品と格を堅持せしめ、町田氏の果敢な挑戦の軌跡を見ることができる。奇山をめぐり澄水は風を伴い、黄金の雲はたなびく。張り詰めた空間は風とともに画面左手へほころばせながら流れていく。ただ一人の舟人は町田氏自身の投影である。壮大雄飛の心境が作品から漂ってくる。 (松原)
