第75回春の院展
清水達三
第75回春の院展が予定通り開催されたが、正に最終日の翌日(4月7日)に東京都など7都府県に新型コロナ緊急事態宣言が出された。3月に入り、公立の美術館では自粛要請で団体展が次々と中止に追い込まれる中、まだ、デパートの展覧会、催し物は三密を意識しながら開催出来た。
最近、院展は写真の効用を勧めている感があるが、見て自分の手で写し取る技術が後退していくのを危惧せざるをえない。世はデジタル時代であり、機器を自分の構想にどう使うかということは大切なことである。一方、構想図、ラフスケッチ、多点透視法などは写真ではできない。そのあたりをクリアにしてこそ表現の神髄に入っていけると思うし、画家、それも日本画家としての自負が持てるのではないだろうか。
今展より3点をピックアップした。清水達三は郷里の風景を真摯に描いて、自然と融合した境地を見せる。自らの心の空間世界に梟の飛翔勇姿をおいた今井珠泉。大野逸男は藁囲いで保護された冬の牡丹に雪が舞う神秘な一瞬を捉えた。春季展賞(郁夫賞)の川崎麻央が面白い。今後に期待大だ。(松)
