第34回日工会展から

 

高名 秀人光

● 6月15日〜21
● 東京都美術館

 日展会員、日工会常務理事の高名秀人光氏の第34回日工会展出品作品をピックアップさせて頂く。
 氏は昭和31年輪島の生まれ、16歳の年に漆芸の世界に導かれ6年間の弟子修行を終えた後、石川県輪島漆芸技術研修所にて研鑽。在学中に第2回日本新工芸展( 1980年)に初入選し、注目された。翌年同所卒業後、第15回日展に初入選を果たし、以降新工芸と日展を活動の場としたが、新工芸から分離した日本工匠会(日工会)に移籍、第1回日本工匠会展で会員賞を受賞している。氏の作品は当初から輪島の海をモティーフとして心象的風景を作品に昇華してきたが、赤い嘴で海を突くと海の中に色が生まれたといわれる神秘な魚「サヨリ」の神話を知って以来、サヨリが紡ぎだす光と魚体の煌めきの一瞬の流れを漆芸の素材を生かした技術で表現し続け、2019年に日展会員に。ライフワークとなった「サヨリ」。筆者も嘗て輪島の井波唯志氏を訪ね、また尾長保氏の浜辺の生き物を寿ぐ漆芸に魅了されてきた。秀人光氏の漆黒の中に煌めくサヨリの一瞬の演舞作品。震災を乗り越えて更なる活動の幅を広げていただきたい。(松)

 

 

海の音、わだつみの刻