―墨と立体の競演―
今岡紫雲英 現代水墨画展
青木伸彦 立体・ドローイング展
● 5月18日〜23日
● 東京鳩居堂画廊3F
面白いアート空間に出会った。今岡さんの現代水墨画大作を借景のようにして、青木さんのスタイロフォームによる立体作品が立ち並ぶ。両者の融合はインスタレーションの様相にも見えた。
今岡紫雲英さんは日本表現派やカオス会、主宰する「グループ墨」などで精力的に作品発表を続ける一方、40回を越える個展開催の実績もある。今岡さんの画面はとにかくモチーフと墨の生気に溢れている。人物であろうと自然であろうと、瞬時瞬間の情感が墨で埋められる。「梅雨の晴れ間」に見る濃淡の線と面の交錯もそうだ。またこの作では左上に開けた光の穴にも注目した。当世の一条の希望がそこにありそうだ。「響」の線は多彩。遅速緩急、太細強弱が複雑に絡んで楽器の音色を想像させる。見る者の心を弾ませる約40点。
青木伸彦さんの奇想天外の作品群を見ているとそのまま彼の生きざまが投影されているようで実に面白い。石膏、紙粘土、スタイロフォームによる数々の立体作品はまるで無計画に、心の赴くままに造型されているように見える。しかしそれだけでは像は立たない。凝視するとそこには正確なムーヴマンが存在する。スタイロフォームの繊細な曲線は使い捨てメスを駆使しているという。この辺りに青木さんの両極の美意識がありそうである。ドローイング作品を加えた約80点の競演。(篠原)

響 今岡紫雲英

梅雨の晴れ間 今岡紫雲英
