令和元年度 日本藝術院会員
【工芸】春山文典
令和元年度 日本藝術院会員
【書】黒田賢一
本紙22面にも記しているが、令和元年度日本藝術院会員に、第一部(美術)で工芸の春山文典氏(74)、書の黒田賢一氏(72)が就任された。お二人の推薦理由を以下に記し、日展出品作を紹介してその快挙を祝したい。
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春山文典《推薦理由》
春山文典氏は、東京藝術大学大学院を修了し、日展理事、現代工芸美術家協会常務理事を務めている。アルミニウムを造形的に仕上げる稀にみる作家であり、「風」や「宙」をテーマにした連作は、自然との対峙から独自の表現となって、日本現代工芸美術展内閣総理大臣賞、日展文部大臣賞、そして日本藝術院賞を受賞した。また、横浜美術短期大学学長(平成22年横浜美術大学に改組)なども歴任し、人望が厚い。
改組新第6回日展より「天空の廻廊」[鋳金]は堅い印象の鋳金でありながら、アルミニウム素材のソフトな肌合いが柔和な雰囲気を演出し、暖かい。右向きの鳥が基調となるような空間造形、連続する円穴、飛び地がある遊び心満載の廻廊。
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黒田賢一《推薦理由》
黒田賢一氏は、19歳の頃より本格的に書の道を志し、先達から注目を浴びてきた。更に鋭敏な感性で書の古典の研鑽に励み、筆触の多様性、独特の運筆、簡明直截な線の響き合いによって、漢字仮名の枠を超える新鮮な書の表現に挑戦した。そして大字かなの表現の類型化を危惧した氏は、凛とした線に当をえた要白(余白)を設定することで斬新で格調高い書の表現を試みた。また人書ともに映える高邁な人物でもある。
改組新第6回日展より「梅花」は改元の引用をした万葉集の梅花32首の序。その834の歌で、「梅の花いまさかりなり百鳥の聲の戀しき春來たるらし」(少令史田氏肥人)。春がやってくる喜びを詠った歌と自らの夢の成就を秘めたと思われるが、実に爽快に筆が運ばれている。6行目に散らしの変化が一カ所あるだけなのに流れがあり、潤渇の機微を十全に活かしている。本来の持ち味である大字の切れと、墨色へのこだわり、それに加えて、行間の絶妙な余白がこの作品を生んだと言って過言でない。
お二人の更なるご活躍を祈念したい。(松)
