三田村有純 漆藝展
天・地 輝く
● 2020年11月25日〜12月1日
● 高島屋大阪店6F 美術画廊
日展理事・東京藝術大学名誉教授の三田村有あり純すみ氏の漆藝展が昨年末に高島屋大阪店で開催された。
この展覧会は、東京世田谷区の平成記念美術館ギャラリーで約1ヶ月間開催された企画展の終了4日後に巡回展示され、メイン作品の殆どが展覧できた。これまでも日展や現代工芸美術展で日本神話と宇宙をテーマとした氏の作品に接してきたが、モニュメンタルであり、且つ重厚感ある立体漆藝大作を拝見したのは_橋節郎作品以来であり、正直新たな驚きでもあった。タイトル『天地創成』は〈あまつち つくりなる〉と読み、漆500年事業に繋がると聞く。
本作は、天と地の合体、生命の誕生をイメージした構成であり、生命力の源「天」の象徴としての「勾玉」は、地塗りの段階で様々な色を重ね、その上に幾層か黒漆をかけて研き、更に透明な漆を何層も重ね、研きを繰り返したと
いう。その漆の深みが正に『玄』を具現している。
「地」の部分は固まったごつごつ感ある地表をイメージし、地層を漆の層に見立てて蒔絵技法で金、銀、錫、貝、砥石、硯、などの粉を幾層にも蒔いて仕上げられている。
令和になって造形を始めた作品だが、会場で有純氏から「どうぞ手で触れてください」と言われた。手で、布で触れられながら表面がほんの少しずつ磨かれて完成していくのだと。100年後、500年後に下層の色が少し見えてくる、何世代も語り継ぐ壮大な思いがこもった作品であった。
どうしても、大作の重厚さに目がいくも、中・小品に施された立体蒔絵の組み合せや分離可能のコンセプト、物語性ある発想展開も興味深く、また、ぼかしの表現が非常に難しい漆絵に、和紙の裏から漆で加飾したり、和紙の重ね描き等、ぼかしを試行した「彩漆画」もあり、ウイットにとんだ展覧となった。
三田村有純氏は1949年、東京の生まれ。生家は江戸時代から続く赤塚派の蒔絵師で、赤塚派8代の祖父・自芳、9代の父・秀雄より漆藝技法を学び、現在10代を襲名している。
2018年、日本藝術院賞を受賞し漆藝家としての地位を確立したが、800膳を蒐集する箸コレクターとしても知られる。マイ箸は平左衛門製の「八四郎」、院賞受賞の宮中の晩餐会でも使用され、天皇皇后両陛下と箸談義をされたと聞く。更なる活躍が期待される。(松)
