―二人の十五代―
新兵衛の樂 吉左衞門の萩
● 1月13日〜26日
● 日本橋三越本店 本館6F
美術特選画廊・アートスクエア
東京藝術大学彫刻科卒で1949年生れの同級生、そして共に陶芸の名家に生れ十五代窯元を襲名した萩焼の坂倉新兵衛と楽焼の樂吉左衞門の二人展。
しかし、この二人展は嘗てない仰天の企画となった。樂を新兵衛が焼き、萩を吉左衞門が焼くという窯元あげての前代未聞のコラボである。これは二人が窯元の跡継ぎと自覚しながら、あえて藝大で彫刻科を専攻したかという事由にも絡んでくるのではなかろうか。古来「一樂、二萩、三唐津」と云われるように茶陶として賞用されてきた伝統的な歴史を有するが、あらゆる約束事の中で、ことが為されてきた職人・名人の流れではない造形美を取り入れたいという深意を持っていたからと思える。
「伝統の中に新しい息吹を吹き込む」ことは口で言うほど生易しいものではない。襲名直後の樂吉左衞門の樂茶碗は、造形がこれまでの物とは異次元の世界。その造形の斬新さに驚きを禁じえなかったが、まるで巖のごとくごつごつした口縁から茶を飲むイメージは湧かなかった。用の美との狭間で新たな葛藤が始まったのである。坂倉新兵衛の襲名直後の動向は知らないが、恐らく似たようなことがあったのではないか。
用の美をも手の内にした二人だからこそ実現できた感動の展覧会であった。(松)
