[曜変の宇宙]

貴和 皓山  作陶展

 

 東山の「君台観左右帳記」には天目茶碗が、曜変、油滴、建盞、烏盞、鼈盞などに分類されており、その最高峰と位置づけられているのが漆黒釉面に大小の星紋が浮かび、そのまわりが玉虫色に光沢を放つ曜変である。銭万匹に匹敵し、油滴は第二の重宝(五千匹)と書かれている。
 その曜変天目に中国で出会い、魅せられて陶芸の世界へ入った人がいる。貴和皓山25歳の年であった。20年間の試行錯誤を経て大阪で初個展を開催したのが1989年。見事に再現された宋・元代の曜変、定まった師につかず感動の宇宙観を自身の作品に見いだした貴和皓山がそこにあった。その後毎年大阪、東京で発表を続け、曜変焼成の技術を高めていったが、2001年にはフランスパリ・ギメ国立東洋美術館(ルーブル美術館東洋部)のリニューアルオープン記念にて展示、その茶会展の茶器を担当し、絶賛を浴びた。今では知る人ぞ知る曜変作家として注目されているが、2003年6月京都・永観堂の釈迦堂に黒(龍象)・白(雅芳)一対の香炉を寄贈した。この作品は永観堂が釈迦堂中央の間方丈に関口雄揮氏に制作依頼した襖絵「平成二河白道図」の水(鳴門の渦)と炎(雲仙普賢岳火砕流)の炎のイメージにあわせたもので、普賢岳の火山灰を練り込み犠牲者鎮魂の香炉となったことは記憶に新しい。
 今回も宇宙をイメージした数々の曜変天目茶碗が出品され、展覧者の注目を集めていたが、特に紹介の「玄華」は茶碗内側上部まで曜変が広がり器内全体が小宇宙という逸品であった。更なる進化を遂げた貴和曜変、手に取った人は正に深遠な宇宙を一個の器に感じられるに相違ない。   (松)

 

 

 

 

 

 

  ■1月19日〜25日  ■松屋銀座 7階画廊

  「茶碗 幻華 − げんか −」 径12.0×高7.2cm