今月の課題 「新型コロナウイルス5類へ」 編集主幹 松原 清
待ち望んでいた新型コロナウイルス感染症が、5月8日から5類へと移行された。これまで、一律に政府から日常における基本的感染対策を求められなくなり、感染症法に基づく陽性者及び濃厚接触者の外出自粛は求められなくなる。また、感染の疑いある患者も幅広い医療機関において受診可能となる。更に感染者の医療費について、健康保険が適用され、1〜3割の自己負担が基本となるが、一定期間は公費支援を継続する。というのが変更点のポイントだ。
しかし、感染対策の実施については個人・事業者の判断が基本となるとのことで、マスクも個人の主体的な選択を尊重、着用は個人の判断に委ねる、とある。また政府として一律に求めないが、「三密」の回避と距離の確保の有効性、手洗い、喚気もうたっている。
つまり、事業者(病院)がマスク着用を決めたら患者、訪問者はその義務を負い、感染予防でお見舞い禁止を継続することが出来るという訳である。実は私の母(94歳)の姉(98歳)が入院して、1年半以上コロナ禍のため会うことが出来ず、認知症もすすんでおり、早く見舞いに連れていってやりたく、やっと行けると思っていたのだが……。政府は責任を個人と事業者に転嫁した、ただそれだけなのかも。それで事態が一向に進まないのはあたりまえだ。5月8日が過ぎても、一向にマスクの人達は多い状態で、殆どひと通りがない所でも頑にマスクを取らない人が大半を占める。
新幹線も車掌から指摘されることは無くなったが、食事以外はマスクのオンパレード。集団圧力が働くのか、外人さんがキョロキョロしながらマスクをするシーンも。そういう私は、病院やラッシュアワーの電車、構内以外は出来る限りマスクを外すよう心がけている。そうしないと何も変わらないではないか。コロナ禍がなかった2019年末以前の状態に、日本は復帰できるのだろうか。
だけど、美術界では祝賀会を復活する団体が徐々に増えてきており、少しずつ活動に活性が生まれ出している。仲間が共に飲んで食べ、語りあう。そうしたコミュニケーションがあって、互いに刺激を受けあう場が成立する。高齢化が進む中にあっては、尚更にそうした会合は意識を高めて新たな気力を繋ぐ原動力となる。私も、もう少し規制が緩くなり、国同士の紛争が安全レベルまで鎮静化したら、海外の美術館巡りを再開したいという思いが段々と強くなってきている。体が自由に動けるうちに実現できなければ楽しみが半減してしまうではないか。世界の自由と平和が守られるよう、日本政府の確固とした舵取りを期待するしかない。結局政治も「人」の質が問われている。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円