今月の課題 「ウクライナ侵攻、その後」 編集主幹 松原 清
中国での冬期オリンピックが閉幕したのは今年の2月20日。続くパラリンピック開幕の3月4日を前にして、ロシアが特別軍事活動と称しウクライナ侵攻を発動したのは2月24日であった。
それからまだ半年ちょっとしか過ぎていないが、その間めまぐるしい国際、国内変化があった。世界は嘗ての米ソ冷戦のような二極化に突入したと言って過言でないだろう。米・NATO +自由で開かれたインド太平洋戦略(印・日本・豪・米/安倍晋三元首相の提起)と中・ロ+北鮮の対立構図が急速に鮮明になってきた。五輪、ウクライナ侵攻の蔭で、南太平洋のトンガの港湾を一帯一路で中国が借り受ける話が進んでいたのである。今、懸命に対処しているようだ。
当初3日程でキーウ制圧を楽観視していたロシアだが、米・NATO 他のウクライナ支援で侵攻計画が絵に描いた餅のように瓦解し、劣勢につぐ劣勢で既に自国領土に併合していたクリミアまでも奪還されかねない程、軍事面と経済面で追い込まれている。一番怖いのが戦術核の使用であるが、そこまで愚かでないと信じたいが、抑止の事前策はうたなければなるまい。ロシアの低迷の中、中国の領土・領海的野心が現実化しつつあるのは明白だ。南シナ海と東シナ海の島嶼占有と埋め立て基地化。台湾侵攻は目前かのような様相で、尖閣諸島の日本領海侵犯も常態化となっている。
その間、日本の動きはどうだったか。岸田内閣は、中国のウイグル人ジェノサイド非難決議を出来ないままであり、尖閣領海侵入にも断固とした態度をとっていない。また、あまりにも不用意に日本の土地が外国人に買い取られている事に鑑み、重要土地利用規制法の見直しが図られているが、与党一部勢力の反対でまたもや骨抜きにされそうである。さらに、ステルス入札問題も浮上、上海電力が日本の太陽光発電を牛耳ろうとしている問題が急浮上してきた。東京都の一戸建ての太陽光パネル設置義務化も大問題だ。すべて中国の深慮遠謀が見え隠れする。年々増加し今や27 兆円の軍事予算の中国による圧倒的艦船・航空機・ミサイル・核、対する日本はようやく予算の1%枠を外すことに同意を得たが、5年以内に2%を目指すそうだ。これで本当に間に合うの?有事は明日始まるかもしれないのに。安全が保障されてこその経済じゃないのか、破壊されて侵略されて絶対に幸せは訪れない。哀しいかな日本を守るため戦う人は全体の17%と聞いたが、日本の安全保障に尽力してきた安倍元首相が7月8日参議院選挙の応援演説中、凶弾に倒れ亡くなった。選挙後に台湾を訪問予定であったという。「台湾有事は日本有事」その声が切実に響く。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円