今月の課題 「参議院選挙・凶弾・経済/安全保障」 編集主幹 松原 清
6月22日公示された参議院選挙、今回改選対象は125名。通常なら自民、公明の与党と立民、維新、国民、共産、れいわ、社民、N党、参政などの野党の争いになるはずだが、いささか入り乱れての選挙戦となった。何が原因なのか!今、日本は経済と安全保障をどのように構築していくかが喫緊の問題となっている。約20年間も平均年収が変わらない国は、先進国では日本だけらしい。ロシアのウクライナ侵攻が多大な影響を与えて、燃料、食料の高騰、逆に円安が進み更に悪化している。自民党の内閣は経済発動(国債増発)もせず、消費税の一時停止さえも考えない。消費税廃止なら年金支給を下げるとまで宣う。国の消費経済が回らなければ更に減収になるのは火を見るより明らかだ。
また、台湾、尖閣諸島問題もいよいよ怪しくなってきており、防衛予算の大幅な増額の必要性は認めたものの具体性もなく、進展感がない。ロシア、中国ウイグル人虐待、現状変更を狙う軍事侵攻への非難決議も与党内での切り崩しで骨抜きにされている。また、日本の土地がどんどん買われているのにも歯止めがかけられない。そんな状況の中での参議院選挙であり、野党の中で日本を守ろうという勢力が、今の自民、公明連立にくさびを何処まで打ち込めるかを問う選挙でもあったと思える。
そんな中、投票日を2日後に控えた7月8日、応援演説に駆けつけた安倍晋三元首相が、奈良で街頭演説中に銃で撃たれたとの緊急報道が日本中を駆け巡った。筆者はその日大阪に出ていたが、心肺停止の状態で奈良県立医科大附属病院に運ばれたことをネットで知った。全力の治療も空しく安倍元首相はなくなってしまった。その報道に、筆者はすごく大きな、どうしようもない喪失感に捉えられた。現在の日本の国防に全面的に奮闘している指導者の筆頭と常々思っていたからだが、これは、奈良県警とSPの警護の在り方が問われると感じたのも事実である。お花畑である。後ろの警備の面々は演説者と同じ前を向いており、後ろから来るかもしれない不審者を見張っていなかったのである。恐らく近寄ってきた犯人に、手製の銃を発射された折りの爆発音に驚いてしまって二発目までの数秒間に安倍氏にかぶさる等、守る体制がとれなかった。そう思う。この事件は世界をも瞬時に駆け巡った。驚く程の弔辞が寄せられた。それだけ、海外にも一目を置かれた存在であったという査証だ。
選挙結果は自民が8議席伸ばし、改憲勢力で2/3を越えた。だが、憲法改正の方向に、また経済活性化に向くのか不安満杯である。日本の安全と経済復興を命がけで貫いた安倍晋三元首相のご冥福をお祈りしたい。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円