今月の課題 「再びの緊急事態宣言」 編集主幹 松原 清
昨年初冬、コロナ禍の終息宣言がない中ではあったが、感染者の急激な上昇を抑えられた雰囲気もあり待望の日展開催が決まった。弊紙も含め、美術関係各社はこぞって胸を撫で下ろした。開催を決めたほぼ全ての団体も、祝賀会、ギャラリートークの中止等感染予防対策を十全に施した結果、筆者の知る限り昨年から今年1月までの間、美術展に於けるパンデミックは一度も引き起こしていない。この実績はコロナ禍のイベントとして社会的にも認められる成果ではあるまいか。
通常、展覧会に訪れる展観者は、会場で大声を出したりしないし、会場内の特別企画がない限り「密」にはならない。このルールさえ守ればいいのだが、大団体の搬入、審査時に「安全距離不全」「密状態」を生む可能性が潜んでいる。しかし、大団体の日展がクリアしたのだ。
昨年の年末から、政府も対策の緩みが出てきたように思う。感染状況が比較的緩やかな状況を示す中、政府はゴーツートラベルで国内経済の回復を図り、巧く経済が回り始めたかなと感じられるようになって暫くしてから、感染者の急増が目立つようになったのである。それも変異したウイルスの日本上陸。メディアが危機感を煽りに煽り、高名な医師団の鶴の一声の如き、確たる証拠、因果関係の証明もないまま、悪者をゴーツートラベルに限定し、円滑に回りかけた経済サイクルが見事にストップした。再度の緊急事態宣言を発令。2月7日までの期限も更に3月7日まで延長された。
実は日本ではコロナで亡くなった人の累積より、自殺者の増加の累積数が多くなっているという事実が挙げられている。なぜ感染者急増を招いたのか、感染者はすべて日本人なのだろうか、そこに疑問が残る。外国人のビジネス入国の軽減である。対象国の入国審査制限と同じ規制での軽減であれば、まだ許される判断と思うが、一部の外国人の日本への入出国には、入国時の陰性証明書とホテルでの自主隔離対応で、日本人がその対象国への入出国でPCR・強制隔離される差別対応が公然と行われていると漏れ聞こえてくる。感染症の水際防衛体策は何処に消えてしまったのだろう。
問題を美術界に戻そう。新年から、自主規制による展覧会中止、延期の団体、個展が若干増え始めている。安全意識徹底は理解できるも、パンデミック零の実績で美術館は閉館には至っていない。冒頭書いたように展覧のみで、対策を十全にとれば、極めて安全性の高い分野だと思える。美術の灯を消すことのなきよう是非とも開催前提の工夫と対策を希求したい。ヴァーチャルの展覧では満足できない愛好家の為にも。作家・美術関係者共に頑張りましょう!!
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円