今月の課題 「混迷の2021年を考察する」 編集主幹 松原 清
新年おめでとうございます。今年こそ穏やかで人々がコミニケーションを自由にとれる年にしたいものです。
しかし、新型コロナウイルスの終息宣言はなく、不安の残る年明けとなりそうですが、今年の夏に延期となった東京オリンピックの開催が先ず気にかかるところです。年末の急激な感染者増で、増加の原因はこれだと決めつけ、ゴーツーキャンペーンも1月11日迄一時中断。しかし、外国からの旅客の規制は緩くなり、日本人の外出自粛をする反面、町を闊歩する仕事で来た筈の外国人が多く見かけられるようになりました。感染者発表は人数のみですが、国別の発表も欲しいと勘ぐりたくなります。いずれにせよ、効果的なワクチンの完成がない世界的状況下で、五輪開催は本当に難しくなってきたと思われます。
今の状況は、すべて2020年の新型コロナ武漢肺炎の発生から始まりました。中国政府の初動の遅れとWHOの怠慢でウイルスは世界へ拡散し、パンデミックを引き起こしました。特にアメリカでは12月18日現在で感染者1720万人、死者31万人を越え、世界では7400万人の感染者で死者は165万人。この感染が大統領選挙の郵便投票の実施を誘導して、不正選挙の温床になっています。米日の大手メディアは事実を報道しませんが、投票機や開票の不正がユーチューブやインターネットで拡散される一方、ツイッターやユーチューブの違法監視システムで個人IDの凍結や削除といった独善が公然と実施されるなど民主主義の危機といえる状況が発生しています。トランプ側からバイデン・民主党の多くの選挙違反の訴訟が提訴されており、最悪のケース(外国の選挙介入が明確になった場合)戒厳令が発令されるか分からない状況の中、今年1月6日の開票、20日の大統領就任式が迫っています。何か大きなどんでん返しが起こるかもしれません。
そんな中でも画家は絵を描き、書家は書に取り組むしかありません。スケッチや取材にいけない状況、書家は中国に古典のルーツ訪ねることも難しくなっています。コロナ禍とウイグル、香港、モンゴルなどの人権問題が絡んでおり、おまけに台湾、尖閣の領土問題もキナ臭くなってきているからです。世界経済の悪化は必然で日本経済も怪しくなる兆しがあります。政府は自由社会勢力の世界状況を見据えて思い切った政策を前面に押し出すべきで、日和見主義が最悪の結果に導くかもしれません。
新年から前途多難な話となりましたが、日本人として、また自分の仕事に誇りをもって現状に立ち向かうしかありません。
現場を巡る美術評論の世界も小さくなりましたが、前向きに頑張ってまいります。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円