今月の課題 「荒れる世界情勢」 編集主幹 松原 清
アメリカと中国の貿易戦争が更にヒートアップしてきた。G20で一時合意、しかしトランプ大統領が対中関税をアップ、それに対抗して中国もアップした。食料輸入に大幅な関税をかけたため、アメリカでだぶついたコーンを日本が引き受けるはめになっている。小麦もそうだが、中国は今や食料輸入国となっており、食料確保に黄信号が灯るかもしれない。次に香港の大規模デモに一応の決着がついた。9月4日、香港政府が「逃亡犯条例」改正を撤回した。しかし、デモによる犠牲者への対応、林鄭月娥行政長官の罷免など今後のケアに問題が移っている。それにしても香港の住民の結束の強さに脱帽する。民主化が一度崩れば、それを取り戻すには途方もないエネルギーが必要になり、国の解体まで進まないとひっくり返せないということだろう。
韓国のGSOMIA 破棄も見逃せまい。ホワイト国から通常国にしたことで、ここまで愚かな対抗策を打出すとは。アメリカの激怒、世界に愚かさを喧伝してしまっていることに気づかない。まさに困った隣人、隣国である。架空の従軍慰安婦問題の蒸し返し、管制レーダー照射事件、募集工(徴用工)訴訟問題、天皇陛下への侮辱発言、そのどれをとっても、説明、謝罪をスルーして、一方的な要求を押し付けてくる。会談してもその繰り返しで、実のある内容は一切ない。オリンピックのボイコットも再燃している。ボイコット理由に放射線量汚染をあげているが、実際に韓国から測定に来て、宮城のオリンピック会場の線量がソウルより低いことが証明され、この件にはダンマリを決め、旭日旗問題で参加不可を新たに言い出している。まだまだある。竹島への韓国国会議員の上陸、竹島での韓国軍による最大規模の軍事訓練が実施された。そういえば、竹島上空をロシアと中国機が侵犯し韓国機が威嚇射撃を実施した事件もあった。韓国は何処へ向かおうとしているのだろう。日本は条約上での抗議のみに留め、沈黙を守っている。会議しても協議にならないからだ。
さて、書道評論家の田宮文平氏が6月14日に急性骨髄性白血病のため82歳で逝去された。2016年の新年号まで田宮氏の名書巡礼が21回続いていたのだが、「李太白憶旧遊詩巻」(黄庭堅)をもって休載を続けてきた。最近、奇跡的な快復をみせ、人ごみ以外の取材、講演も行い始めた矢先のことで、その逝去が惜しまれる。麻生さんに続き田宮さんまでも。書道界の生き字引的評論家がいなくなってしまう。美術評論家協会では会員として親しくおつきあいをさせていただいた。神戸ではよく杯を上げて書道界の動向の話もして、カラオケを楽しんだ。謹んで追悼の意を表します。合掌。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円