今月の課題 「クロアチア」を訪ねて(2) 編集主幹 松原 清
オパティアはクロアチア最大の湾岸都市リエカに近隣する小さな街だが、平均気温は冬が10℃、夏は25℃と過ごしやすく、著名なリゾート地。オーストリア帝国時代にはハプスブルク家の行楽地となっており、名家の建物の特徴あるクリーム色の街並が今も残る。
ドバイから6時間強のフライトでベニスのマルコポーロ空港に到着した我々は、バスに乗り換え一路クロアチアに向かう。途中、スロベニアを経由して約3〜4時間ほど。陸路による国境越えはスペイン/ポルトガル以来。イタリアとスロベニアの国境はフリーパス、だがスロベニアとクロアチアの入出国には検閲がある。同じEU加盟国でも二国間の国境協定は異なると聞いた。この日は検察官が男性で、バスまで出向いてくれて通関検査はすぐ終わった。
(因みに6日後のベニスへの帰路は女性検査官で、全員下車して通関署で割合長い検査を受けた。)そんなこんなで、日本から24時間以上かけてクロアチア初日のオパティアのホテルに到着したのは日没後の7時前であった。格安ツアーの心配はホテルの程度。四つ星とはいえど泊まってみなければわからない。着後すぐの夕食ではあったが、目の前にヨットハーバーがあり景観も良く、食事も大満足であった。また、ハウスワインが安くてとにかくおいしい。部屋もゆったりとした豪華なつくり、我々はゆっくりと日本からの長時間の旅の疲れを癒すことができた。翌朝、海が見たくてモーニングコール(6時)前に起床、6時半からの朝食までホテル周辺を歩いたが、考えることは皆同じで私が一番遅かったようだ。兎に角、海の水が澄んでいる。その透明度に実際に接してひとりごちた。8時出発、目的地は唯一「プリトヴィッツェ湖群国立公園」。前号に記したので詳細は省くが、想像した通り大滝の近くはマイナスイオンの宝庫。澄んだ水にそれは大きなふきのとう、水芭蕉も咲いて、大きな鱒が悠然と泳ぐ姿も見える。2時間コースを3時間かけてゆっくりと巡るが、写真ポイントで慌ただしくシャッターを切った韓国人ツアーが我々を追い抜いて行く。たぶん、今日中にもう1カ所巡る予定なのだろう。ホテルでも見かけたが、食事の場面はすさまじい。パン、果物他をバックに詰め込む者、ポットに平気でコーヒーをたっぷり入れて帰る者。食べきれない程の料理を運び、食べ散らかして帰る後ろ姿を苦々しく見つめるボーイ、給仕人。日本人も昔はこのように見られていたのだろうか、ちょっと悲しい。
国立公園を出て次の宿泊地シベニク(ローマ時代末期の世界遺産)へとバスはひた走る。行きの途中の田舎街の家々の壁に残っていた銃弾の痕を思い出し、長い内戦の歴史の記憶を留めているんだと感傷に浸る。同時に、道路横にある蜂蜜売りの(運ちゃんの知り合い)小屋前に停車して買い求めた蜂蜜に思いがいく。実に豊潤で旨い、そして安い。もっと買っておけば良かったなぁと。約400キロの行程、高速道路走行といえ流石に長丁場だった。 (続く)
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円