今月の課題 「30周年 始末記」 編集主幹 松原 清
懸案であった神戸・全日本美術30周年企画「明日への夢展」〈美を継ぐ者たちⅢ〉も一応無事終了、直後に迫った10月号を発送して、人心地ついたと思う間もなく11月号の取材・編集に。
それにしても、この2カ月程の忙しさは半端ではなかった。前回は遊軍がいたことで仕事の分散が図れたが、開催にこぎつけるまでの企画展の殆どすべての仕事を、私と専従者である妻で処理しなければならなかったからである。発起人依頼から始まり、小紙購読者からの出品依頼、物故者の親族様との出品交渉、その依頼用紙の作成と郵送、返送の整理、搬入・搬出業者の決定と打ち合わせ、更に兵庫県、県教育委員会、県芸術文化協会、神戸市、市教育委員会の後援依頼、加えて記念単行本の制作依頼と校正、ポスター、案内状、出品目次のゲラ作成、祝賀会の内容決定に懸る打ち合わせ等々。展示後から思い起こしても実に多種多様な仕事が複雑に絡んでいた。毎月の新聞の編集で事務員は手一杯、前号にも記したが、その間に私の「逆まつげの手術」も飛び入りで加わった。
出品者数も〆切後も増加し、嬉しい反面出品目録の印刷になかなか取り掛かれず、題名の未連絡も多くて飾り付け時にキャプション票に題名記載が出来ず、展示後手書き記入した作品も多々あった。展示前日、展示日(内覧)と徹夜に近い作業が続き、寝不足でミスや、やるべき仕事が抜け落ちたことも事実。が、出品依頼が予想点数に達したことと発起人15名全員が出品いただけたこと、更に想いがあった物故作家の中20名の作品を展示出来たことが頑張る支えになった。本当に良かった。
展示構成は当初から決めていたとおり、原田の森ギャラリー本館1階奥に、新聞の巻頭(10年分程抜粋)をカラーコピーして掲示、発刊してきた図書類も並べて神戸・全日本美術の歴史の一端を披露し、全美ゆかりの物故作家の特別展示を実施、青山杉雨氏、杉岡華邨氏の書の両巨頭をはじめとして、昭和天皇、皇后陛下の祐筆を長らく務め、宮内庁入江侍従長にその楷書を絶賛された中島司有の楷書作品と創作作品の対峙展示、次代の書壇をリードする書家として期待されながらも平成18年3月逝去された金子卓義氏と、同年10月逝去された劉蒼居氏の対比陳列の実現も意義あるものとなったと思う。日本画の大山忠作氏の作品は福島の美術館に殆どが納められ、寄託されているため小品の出品となったが、数々の個展に寄らせていただいた折りの会話や10周年の発起人としてご挨拶いただいたことの記憶が甦った。今年2月に97歳で逝去された庄司栄吉氏の演奏家シリーズも。2階の展示は8・10面に記載。
9月9日の祝賀会当日は台風。東日本は大荒れで在来線が止まるほどであった。おおいに心配したが、しっかり東海道新幹線が動いていたので大量欠席も出ず、約160名の出席をいただき盛会で小宴を終えることが出来たのは何よりのことであった。
今は、頭の中が空白状態。新たな出発ができ得るか、次の40年は途方もなく長い。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円