今月の課題 「逆まつげ騒動記」 編集主幹 松原 清
先日、手術をした。逆まつげの手術である。30周年の準備と郷里の老老介護状態の親のもとへの月6日ほどの帰郷と、それに毎月の新聞編集の仕事が重なって、睡眠不足とパソコンの前での原稿書きが連続したことで、ある日起きると眼が真っ赤。まるでゾンビのように充血していたのである。
兎に角びっくりしたと同時に焦った。何かへんな病気を発症したのか、眼は大丈夫か、まさか見えなくなるのでは!?と。大至急近くの眼科を探して駆け込んだ。原因は寝不足とパソコン画面を見続けドライアイ状態で酷使した眼球疲労、そこに下まぶたの筋肉の緩みも手伝って、下まぶたのまつげが完全に眼球に潜り込むようになり絶えず眼球をこすっていた為とわかった。「重度の逆まつげですね。これから頻繁に起こりますよ。完治させるには手術しかありません。なぁに簡単ですよ」との御神託。しかし、手術は診察した自分の医院ではなく、神戸で眼科と整形の博士号を持つ名医を紹介してくれたのである。そういえば、60歳を過ぎた頃から車の長時間運転や、パソコン仕事の折り、急に眼が痛くなって涙が止まらなくなることがしばしばあった。その原因の根幹は逆まつげにあったのだ。
これからも頻繁に起こる。手術は簡単。そのふたつの言葉で即手術を決めたのだが、郷里の母親にも知らせたところ、「そんなの、ちょいちょいで済むわ。」とそっけない返答。母も逆まつげだったのだとこの時初めて知った。しかし、それは単逆まつげを取ってもらっただけのことと後でわかったのである。そんなこんなで紹介された医院へ翌日出かけ、気軽な気持ちで即手術を依頼したのである。流石に他県からも手術に訪れるというだけあって、最速が1週間後と言われ8月日右目から実施、と決まった。1週間後の25日抜糸、同時に左目の手術。9月2日に抜糸完了の予定であった。それなら10月号の編集も出来て、9月8日の「神戸全美30周年—明日への夢展」にも間に合うとタカをくくっていたのだが……。
確かに手術は簡単であった。麻酔を打ち、レーザーで切開後余分な肉を削いで潜ってしまう下まぶたを引っ張って縫う。まぶたの肉が焦げる臭いが何ともいえない。約30分で終了し、きつく眼帯をして即日帰宅。2日後は眼帯をはずして、風呂もOKだと言われた。が、麻酔が切れてくるとちくちくする。当然であろう、生身を2センチ切って5針も縫っているのだから。帰宅(事務所へ)後は少し仕事も出来るかなと安易に思っていたが、片目では今度は左目がもたない。頭も少し重く、その日の仕事は無理だと諦めた。眼帯を外してからもまだ、下まぶたは腫れ気味で重たく、パソコン画面がまぶしく感じられて眼が疲れるため長く仕事が出来ない。確かに、右眼は術後に逆まつげ状態にならなかったものの、25日に抜糸、左眼手術は編集仕事と30周年企画の超過密予定に耐えられないと判断。10月頃に延期するよう再依頼、やっと編集完了に漕ぎ着けた
。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円